[米を炊く 003]ゆきさんの話

暮らしの中で淡々と繰り返している
「米を炊く」ということ。


私にとっては、当たり前のように
そこにある行為だけれど、
みんな、どんな風に、どんな時に、
米を炊いているのだろう。
そして、その周りにはどんな日々が
続いているのだろう。


身近な人たちに、
それぞれの「米を炊く」と、
その周りにある日々のことを聞きました。


今日は、ゆきさんから聞いたお話です。

ゆきさん

東京都出身、新潟市と長岡市の2拠点居住。若者と魅力的な地域を繋ぐコーディネーターとして、新潟県内を動き回っている。ぱっといろんなところに連れて行ってくれたり、ぱっといろんな人に会わせてくれたり、なんだか魔法使いのような方。


ゆきさんの米の炊き方
1. 米を研ぐ
2. 20分くらい浸水する
3. 適量の水を入れて炊飯器にセットし、炊飯

お米は、3日に一回ぐらい炊いてます。今は新米の時期だから、お米を食べたくなるよね。新米はつやつや度がすごい。毎年のことなのに、炊き上がってつやつやしている新米を見るとびっくりする。ご飯のときに、「今日はこれが楽しみ」 っていう要素が一つは欲しいなと思っているんだけど、それを新米が満たしているから、新米の時は、あんまりおかずを用意しないね。「もうこのお米あんまり美味しくないなー」っていう時は、それだけでは楽しめないからおかずをたくさんつくるかも。


自分の体はどんなものを欲しているか

しっかりお米炊いて、お味噌汁とおかずを作って食べる。っていうのが、生活をリセットする方法にもなってると思う。時間に余裕がある時もお米を炊いて食べるけど、逆に疲れている時こそお米を食べるかも。忙しい日が続いた後に、ガッツリ時間をかけてご飯をつくってリセットする感じかな。私の場合は、そうすると元気になりやすい気がする。

ジャンクな食べ物は、すぐに「美味しい」って感じるけど、それが持続しないっていうか、じんわりしてないよね。ジャンクな物も好きだからよく食べるんだけど、明日に向けて、自分の体はどんなものを欲しているかをその時その時で考えるようにはしてるかも。時間はかかるけど、お米を炊いてしっかりご飯を食べることもあれば、車を置きに行く時間すらもどかしくてテイクアウトで買った唐揚げを車の中で食べることもある(笑)どっちも美味しいから、偏りすぎず自分の気持ちも大切にしてバランスを取っていけたらいいのかな。

頼れる人の近くに住んでみる

来年も今と変わらず移動の多い仕事になると思うし、生活も2拠点の予定。でも、1つの拠点は今より田舎に引っ越して、じっくり自然を味わいたいと思ってる。住んでみたいなと思っていた集落で家も紹介してもらえたので、来年からそこに住む予定。静かでいいところなんだよね。でも、その集落に住みたい一番の理由は、頼れる農家さんがいること。私の仕事の内容も知っていて、「ここにずっと住み続けるんだろ?」というスタンスでもないし、いろいろ分かってくれた上で相談に乗ってくれたんだよね。そういう人が一人いるっていうのが大きいな。しかも、家も2軒隣で、「お風呂や夜ご飯もこっち来ていいよ」って言ってくれてるし(笑)


「弱さ」を大事にしたくて

最近なんか頭で考えちゃうんだよね。仕事はそんなにすぐ変える予定はないけど、住むところは変わるし「これから何をやってこうかな、私」ってことをずっと考えてる。そのことが頭の片隅にあって、本を読んでいる時もビビッとくる言葉があると、「私への言葉だ!」って思っちゃう癖が付いた(笑)

今は、若松英輔さんの「弱さの力」っていう本を読んでる。「弱さ」も最近のキーワードなんだよね。「弱さ」ってどういうこと?って聞かれると答えるのが難しいんだけど…私の上司はよく「マッチョに生きない」と言っていて、「マッチョでタフだと成功できるっていう価値観じゃない」ってことなのかな。私は、「弱さ」を大事にしたくて、進路も住む場所も決めてきたはずなのに、誰かの評価に触れる機会があると、自分のした決断に自信が持てなくなる。先月も自信をもてなくなった出来事があったんだけど、その時、近くにいる人たちがたまたま「弱いまま楽しく生きていくために、好きな人たちとつながっているよね」っていう話をしてくれて、そうだなあと思ったんだよね。それで、ますます「弱さ」の大事さを感じた。誰かと競って勝とうとするとか、「スピード感のある強さ」が私は苦手なのかもしれないな。

つながる米屋コメタク

「私たちの豊かさとは何か」という問いに対して、 「米を炊くこと」という仮説を立てて、 米を炊いています。 暮らしの中に「好き」と「隙」を増やしていきたいです。

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